ねずみ大根とは・・・
一説には江戸時代に長崎から薬用として伝来したとも云われ、古くから坂城町の一部地域で栽培されている地大根(辛味大根)です。
形状は下ぶくれで短く、ねずみのような尻尾が付いているように見えることから、『ねずみ大根』(別名:中之条大根)と名付けられました。
平均的な大きさは根長15cm、根茎7cm、重さ250~300g程度で、現在はF1種(『からねずみ』という名称で品種登録)によって均一な形質の大根が栽培されるようになりました。
信州の地大根は、丸い葉が一般的ですが、この大根は京菜のような形の葉をしており、大根とは思えないほど、細い切れ葉に特徴があります。
また昔から「鍬で耕せば火花が散るような小石混じりの畑」がこの大根の栽培に適しているとされ、他の土地では本来の味や形にはならないといわれています。
そのため、肉質は綴密で硬く、舌触りが良好で、地元では漬け大根のほかに、おろし大根やそばの薬味、おしぼりうどん用の大根として利用されています。
11月になるとねずみ大根自身が寒さから身を守るめ、内部にデンプン質を蓄えるため、辛さの中にも奥行きのある独特の味になります。
これが坂城町で俗に云われる「あまもっくら」とした味で、辛さの後からほのかに感じる甘さが特徴です。
そして、このねずみ大根の代表的な食べ方はなんといっても「おしぼりうどん」です。
ねずみ大根のしぼり汁に、味噌、ネギ、かつお節、クルミなど薬味をお好みで入れ、釜上げうどんをその汁に浸けて食べる簡素な料理ですが、これを食べると口の中に辛さが広がり、汗をかくほど体全体が温まってきます。この地域を代表する伝統食です。
俳人松尾芭蕉が更科紀行の中で「身にしみて大根辛し秋の風」と詠んでいるように、旅の途中、芭蕉もこの地でおしぼりうどんを食べたとか。
味ロッジ「びんくし亭」の名物、自家製手打ち麺おしぼりうどんを是非ご賞味ください。